【3月15日 AFP】ドイツの大手産業別労働組合IGメタルは14日、首都ベルリン近郊にある米電気自動車(EV)大手テスラの工場で、病気休暇を取った従業員の給与から欠勤分が差し引かれるなど、数々の不当行為が行われていると批判した。

IGメタルによると、億万長者のイーロン・マスク氏が率いるテスラは、従業員に対して、提出した診断書について過去にさかのぼって質問し、医療情報に関するプライバシーを放棄するよう求め、欠勤した分の賃金を差し引くことが多いという。

テスラは給与の「過払い」により負債が発生していると主張し、合意退職に応じるよう従業員に求めることもあるという。

テスラは1月以降、ドイツ市場のシェアを失っており、同国で苦戦している。

マスク氏自身も最近の総選挙で極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」を支持したことで、ドイツ国内で非難の的になっている。

13日から14日にかけての深夜には、ベルリン市内でテスラ車4台が放火される事件も発生。警察は「政治的な動機」に基づく犯行の可能性もあるとみている。

IGメタルは、1万1000人以上が雇用されている同工場の従業員から労働紛争で支援を求められる割合は平均の21倍としているが、総数は明らかにしなかった。

テスラの経営陣は大衆紙ビルトに対し、1か月に十数件の労働紛争があると認めた上で、「わが社の工場で大衆行動が起きているというのは、故意に事実を歪曲(わいきょく)している」と述べた。

AFPはテスラにコメントを求めたが、回答は得られていない。(c)AFP