【3月19日 AFP】フランスの著名な男性俳優数人が、映画業界における性暴力に関する議会の審議で証言した。セクシュアルハラスメント(性的嫌がらせ)に対する告発運動「#MeToo(私も)」で意識が変化するまでは、業界での不適切な発言を見逃し、自身も同様の行為をしていた可能性があると述べている。

先月行われた非公開の審議での証言に応じたのは、2012年に映画『アーティスト』でアカデミー賞主演男優賞を受賞したジャン・デュジャルダンさん(52)や、映画『L'Amour ouf(原題)』のジル・ルルーシュさん(52)、ピオ・マルマイさん(40)、『エディット・ピアフ ~愛の讃歌~』のジャン=ポール・ルーヴさん(59)。

18日に国民議会(下院)で発言記録が公開され、AFPが確認した。

フランス映画界では、#MeTooにより、さまざまなスキャンダルが明らかになったが、俳優のカトリーヌ・ドヌーブさんら年配者は当初、#MeTooは米国から輸入された新たな「ピューリタニズム(清教徒の思想)」で「禁欲的」だと批判していた。

しかしデュジャルダンさんは、性暴力を告発する#MeTooを歓迎。

なぜ男性俳優は女性の仕事仲間を性暴力から守るためにもっと前に声を上げるか、通報しなかったのかと問われると、「私たちはすべてを目にしているわけではない。もしかしたら、目をそむけたがっているのかもしれない」とし、「その観点から#MeToo運動は有益だったと思う」と答え、「10年、15年前なら言っていたようなことを私たちはもう言わなくなった。10年後も言わないだろう。性差別的な反応や不適切な発言は(映画界で)徐々になくなってきていると思う」と付け加えた。

ルルーシュさんは、#MeTooは自身の行動を振り返るきっかけになったと話し、「自分がしてきたことを考えると、不適切だったのは明らかだ」と発言している。

マルマイさんは、「自分の表現の仕方はまずかったかなと思う。場を和ませて盛り上げようと、時には誤解されるジョークを言ってしまった」と話し、「自分の発言で不快にさせた相手に、口頭と書面で謝罪したことがある」と明かした。

ルーヴさんは、「私たちの業界では、『彼はすぐ言い寄ってくる』というようなことを耳にすることはよくあったが、実際に何があったのか、どの程度のことだったか私は想像できていなかった。男性として、そういった問題を経験していなかったので。(#MeTooをきっかけに)そういう世界があったことを初めて知った」と語った。

また、不適切な行動をするのは男性に限らず、女優や女性監督も同様に罪を犯しているとの指摘もあった。

ルルーシュさんは、自分を「誘惑」しようとした女性監督との経験を証言。

「暴力的な攻撃とは思わなかったが、シャツの下に手を入れられるようなことがあった。私が女性に同じことをしていたら、問題になっていただろう」と続けた。