【3月19日 CNS】昨年の予算が1000万元(約2億563万円)だったら、今年は1100万元(約2億2691万円)に増やすべきだ――そんな考え方は、これからは通用しなくなる。

 今年の政府活動報告で初めて「ゼロベース予算改革」が提起された。中央の各部門で試験的に導入を進め、地方でも改革を深化させるよう促されている。支出基準や業績評価などの重要制度においても積極的な革新が求められている。

 粤開証券のチーフエコノミスト、羅志恒(Luo Zhiheng)氏は、これは財政資源の無駄遣いを防ぎ、予算執行の効率性を高める有効な手段だと三里河の取材に語っている。

 現在の財政予算の多くは「ベース予算方式」が採用されている。つまり、前年の予算額を基準にして今年の予算を組むという方法だ。
 このため財政資金の配分が「慣例」に依存しやすくなり、「自分の取り分を死守する」「前年の基準額を守る」「より多くの資金を争う」といった現象が生じている。結果として、財政支出には政策の分散、プロジェクトの重複、資金の固定化といった問題が現れている。

 こうした「ベース予算」や「支出の固定化」から脱却し、財政資金を本当に必要とされる社会経済の弱点や急務にピンポイントで投入することが、今の財政課題を打開するカギとなる。

 ゼロベース予算改革は、あらゆる支出の前提を白紙に戻し、「ゼロ」から予算を組み直す。実際の資金需要やプロジェクトの重要度・緊急性に基づいて支出を再配分するという考え方であり、まさに時宜を得た取り組みといえる。

「まず事業を計画し、それに見合った予算を後から配分する」という発想に転換し、一部の地域ではすでにゼロベース予算改革が実施されている。

 一方では「小さな支出を節約する」改革も進んでいる。たとえば、安徽省(Anhui)では2023年の予算編成から全省でゼロベース予算を導入し、効果の薄い財政支出の全面的な見直しを行った。その結果、年間で省レベルだけでも80億元(約1645億400万円)以上の無駄を削減した。

 湖南省(Hunan)も2024年に改革を深化させ、重要性の低い支出を削減した結果、年末までに167億元(約3434億210万円)の非効率資金を回収した。

 他方で「大きな支出は大胆に使う」という方向性も見える。節約は事業の縮小を意味するのではなく、新たな予算編成と執行メカニズムを通じて、民生保障、科学技術イノベーション、人材育成といった重要分野に財源を集中させることを意味している。支出の中身を明確化し、限られた財源から最大の効果を引き出す取り組みだ。

 例えば、湖南省では、削減した予算を重点プロジェクトや産業振興施策に集中投入し、2024年の省レベルの予算では、先進製造業の育成や科学技術拠点づくり、地域開発支援などに充てた財源が前年比で33パーセント増となり、重要政策の実現に向けた財政支援の力がより強化された。

 羅志恒氏は、現時点ではゼロベース予算に関する統一的な編成フレームや詳細な実施評価の仕組みが整っていないと指摘し、今後は関連制度を整備し、財政が厳しい状況下でも改革をさらに深めるべきだと述べている。

 改革は問題に直面して初めて始まり、問題を解決しながら深化していく。ゼロベース予算改革は、将来を見据えた制度改革であり、しがらみを断ち切ることで財政資金の使用効率をさらに高め、積極的な財政政策の効果を強化する鍵となる。(c)CNS-三里河中国経済観察/JCM/AFPBB News