官民連携で加速、中国が人型ロボット産業を本格推進
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【3月21日 CNS】「具身型AI(エンボディド・インテリジェンス)」や「スマートロボット」といった言葉が、今年の中国政府の「政府活動報告」で初めて登場した。報告では、新世代のスマート端末やスマート製造装備として、スマートロボットの大規模な開発を推進すると明記された。
それに先立ち、中国政府公式サイトの微信(ウィーチャット、WeChat)公式アカウントでは、「ロボット英雄伝」と題した動画が公開され、中国のロボット分野における最先端の成果が幅広く紹介された。動画の最後では、「科学技術イノベーションによって新たな生産力の発展をリードする」とのメッセージも示されている。
これは、ロボット産業が新たな成長期に入ったことを示す重要なサインだ。近年、中国の人型ロボット技術は次々とブレークスルーを見せており、この新分野で主導権を握ろうとしている。屋外で134段の階段を連続で上る、前方宙返りを披露、自立制御技術を実現、さらにはハーフマラソンの完走を目指すなど、いくつもの「世界初」の成果が誕生している。2025年は「人型ロボット量産元年」とも呼ばれている。
業界専門家は、サプライチェーン全体の強みと巨大な国内需要に支えられ、中国の人型ロボット産業が加速度的に発展していると分析している。
それを裏付けるように、今年初めに開催された全国31の省・自治区・直轄市の地方両会(地方政府と議会の年次会議)のうち、29の政府活動報告で人工知能(AI)の重点配置が明言され、14の地域ではロボット産業の重点育成が盛り込まれた。
特筆すべきは、「杭州六小龍((杭州を拠点とする6つの先端テクノロジー企業の総称)」などに代表されるように、民間企業が今回のイノベーションブームの主役になっていることだ。
2025年に入り、国産大規模AIモデル「深度求索(DeepSeek)」などが国際的に注目を集める革新成果を次々と生み出しており、その多くが民間企業から誕生している。
ロボット分野にとどまらず、中国は人工知能や新エネルギー自動車といった先端産業分野でも輝きを放っている。統計によれば、中国国内には4500社以上のAI企業があり、AIの中核産業の市場規模はすでに6000億元(約12兆3969億円)近くに達しており、産業チェーン全体をカバーしている。
現在、中国の人型ロボット企業の多くが家庭向けの活用に取り組んでいる。例えば、中国主導で策定された高齢者ケア用ロボットの国際規格が国際電気標準会議(IEC)で正式に承認され、海外メディアからも注目を集めた。
応用分野の広がりとともに、人型ロボットは製造業、医療、物流、消費分野などで本格的な活用が進むと見られている。特に製造業との融合により、ロボットの迅速な進化と成熟が期待される。
もちろん現時点では、核心技術の確立、商業化の進展、倫理的なルール整備といった点で、依然として課題は多い。また、米国や日本の企業がグローバル市場で積極的に展開していることも、中国企業にとって国際競争のプレッシャーとなっている。中国の企業は今後、技術革新、市場開拓、政策対応の面でさらに戦略的な対応が求められるだろう。
グローバルな視野で見ても、人型ロボットの知能化が進む中、「中国の知恵」が今後どう進化していくのか、注目が集まっている。(c)CNS/JCM/AFPBB News