「新旧の共存」が消費の新たな原動力に
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【4月14日 東方新報】春のある日、河南省(Henan)許昌市(Xuchang)にある「胖東来」という大型商業施設は、多くの人でにぎわっていた。各地から訪れた人々が、ここで学び、記念撮影をし、買い物を楽しんでいる。
近年、中国では「消費の活性化」が経済の重要なテーマの一つになっている。観光地のような人気ぶりから「オフシーズンのない6A級景区(国家最高ランクの観光地)」とまで呼ばれる胖東来は、景気の波に左右されずに成長を続け、消費市場の力強さを象徴する存在となっている。
特に注目されるのは、ここでは若者から高齢者まで三世代が一緒に楽しむ光景がごく普通に見られることだ。今年の清明節の連休には、湖北省(Hubei)武漢市(Wuhan)から王亜峰(Wang Yafeng)さん一家が三世代そろって再び訪れていた。子どもは遊具で遊び、夫婦はトレンド商品を探し、両親は健康に関する講座を楽しむなど、家族全員がそれぞれに楽しんでいたという。
業界の専門家によると、胖東来は体験型のサービスやSNSでのシェア、実用性、地域との一体感、場面に応じた演出などを通じて、世代を超えた消費者層をうまく取り込み、消費の新しい活力を生み出している。
こうした「新旧の融合」は顧客層だけでなく、施設のつくりや街づくりにも表れている。たとえば、鄭州市(Zhenghzou)、西安市(Xi'an)、長沙市(Changsha)などの人気都市では、歴史文化の掘り起こしや古い街並みの再整備、産業遺産の活用などを通じて、伝統と現代を融合させた「新旧共存型」の商業エリアを発展させている。
鄭州では、商代時代の城壁跡に近い「阜民里文化街区」が、歴史的な街並みをそのまま生かしながら整備され、近くの二七商圏や紫荊山商圏と共存している。西安では、古くからの回民街と、近代的な大型商業施設であるSKPや王府井が共存し、伝統と現代が対比的でありながら調和した景観をつくっている。
中国商業経済学会の副会長・宋向清(Song Xiangqing)氏は、こうした「新旧の共存」は文化体験を消費の力へと転換しており、都市の歴史や文化を守りながら、現代の消費者が求める便利で快適な買い物体験も提供していると語る。文化の継承と革新、そして都市空間の有効活用が両立しているという。
この「新旧共存」のスタイルは、日常消費品の分野にも広がっている。たとえば、鄭州で1号店をオープンした「文小新(Wenew)」という毛尖茶(もうせんちゃ)を使ったミルクティー専門店は、オープン以来、多くの人でにぎわっている。
このミルクティーは、河南省信陽市(Xinyang)の文新毛尖集団が開発したもので、濃厚な牛乳と毛尖茶を組み合わせた新しいスタイルのドリンクだ。同社の劉文新(Liu Wenxin)会長によれば、近年、企業は茶文化やお茶を使った食品、医療や健康といった幅広い分野に取り組み、茶産業の可能性を掘り下げながら、新しい消費スタイルを生み出している。「伝統的なお茶づくりを守りながらも、若い世代に向けてビールや飲料などの新商品も積極的に開発している」と語る。
宋向清氏は、「年齢を超えた消費者層、文化的な背景を持つ消費空間、多様な日常消費品が共存する『新旧共生』のビジネスエコシステムは、消費市場に新たな活力をもたらすだけでなく、消費のあり方や都市の姿も再定義しつつある」と述べている。(c)東方新報/AFPBB News