ウクライナ選手 「精神的虐待」で女子テニス協会提訴へ
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【4月18日 AFP】ウクライナ出身の女子テニス選手レシヤ・ツレンコ(35)は17日、女子テニス協会(WTA)の責任者から「精神的虐待」を受けたと主張し、「法廷で正義を求める」ことを明らかにした。
2022年2月にロシアがウクライナに侵攻して以降、ツレンコはツアーで問題に直面しているとたびたび訴えてきた。2023年のBNPパリバオープンでは、当時のWTA最高経営責任者(CEO)であるスティーブ・サイモン氏と話した後にパニック発作を起こし、ロシアの同盟国ベラルーシ出身のアリーナ・サバレンカとの試合を棄権した。その後、サバレンカとは2024年の全豪オープン3回戦で対戦し、0-6、0-6で敗れた。ツレンコは昨年11月を最後にツアー大会には出場しておらず、世界ランキングは現在239位に後退している。
サイモン氏は2024年8月、CEOの座をポーシャ・アーチャー氏に譲っている。
ツレンコはX(旧ツイッター)に、「最悪の悪夢においても、自分のホームと考えていたプロツアーが恐ろしくて異質な場所になり、CEOから意識的に精神的虐待を受け、パニック発作と仕事ができない状態に追い込まれるとは想像もしていなかった」と書き込んだ。
さらに、「私はそのことについて率直に話し、WTA内で保護と正義を求めようとした。ところが返ってきたのは無関心と不正義であり、それが長期的な精神的衰退を引き起こした」とし、沈黙を強いられた際に「痛み、恐怖、パニック発作、屈辱、情報の隠蔽(いんぺい)、チームへの嫌がらせ」を受けたと主張した。
「WTAツアーは一人の女性、一人の選手、一人の人間を保護することを拒否した。代わりに、WTAツアーはリーダーシップの立場にある人物を保護することを選んだ。私が自分自身を守り、自分の権利と尊厳を求めて立ち上がり、スポーツにおけるこのような暴力行為を防ぐための最後の手段は、法廷で正義を求めることだ」
WTAはこの日AFPの取材で、ツレンコの主張を否定し、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻を常に非難してきたとする一方で、「個々のアスリートが自国政府の行動のために罰せられるべきではない」との立場を取っている。
WTAはまた、ツレンコや他のウクライナの選手たちが直面している困難に「最大限の同情」を示しつつ、「彼女(ツレンコ)が自分の苦痛の責任をWTAに負わせるべく提訴すると決めたことに失望している」と述べた。(c)AFP