【4月20日 AFP】米連邦最高裁は19日夜、ほとんど使われたことのない戦時法を用いて適正な手続きなしにベネズエラ移民を国外追放するのを一時的に差し止める命令を出した。

最高裁によると、判事9人のうち最も保守的な2人が国外追放に反対した。

最高裁の命令により、ドナルド・トランプ政権が1798年の敵性外国人法に基づく移民の追放を継続することが一時的に阻止される。同法が最後に発動されたのは第2次世界大戦中で、日系人を収容するために使われた。

トランプ大統領は先月、同法を発動してベネズエラ人をエルサルバドルの悪名高い刑務所に移送した。

今回の命令は、18日夜に同法に基づいてさらに数十人のベネズエラ人を追放する措置の実行が差し迫っていたのを受けたもの。対象者は証拠を示されることなく、異議申し立てもほとんどできないまま、送還されることになっていた。

最高裁は「政府はさらなる命令が出るまで、被拘束者集団のうち1人たりとも米国から追放してはならない」としている。

強制送還計画の中止を求める運動を主導したアメリカ自由人権協会は、最高裁の判断を歓迎。リー・ゲルレント弁護士は「(対象の)男性たちは、裁判を受ける機会もなく、恐ろしい外国の刑務所で一生を過ごす危険にさらされていた」と述べた。

これに対し政府はこの日、最高裁に対し、敵性外国人法を適用してテロリストとされる人々を国外追放することは阻止されるべきではないと申し立てた。また、たとえ阻止されたとしても、他の法律を使えばそうした追放の実行は可能だと最高裁は明示すべきだと主張した。(c)AFP/Sebastian Smith