【4月30日 Xinhua News】中国ではここ数年、「民族風」旅行撮影が非常に人気を博しており、文化観光発展の新たな業態を活性化し、各地の消費トレンドをけん引している。多くの観光客が衣装をレンタルし、メークを試して写真を撮影、古い街並みで多様な文化の雰囲気に没入している。

 内モンゴル自治区フフホト市の塞上老街歴史文化街区では、伝統的な民族衣装を着た多くの観光客が時代劇に出てくるような街並みを散策している。

 同市玉泉区文化・体育・観光・ラジオ・テレビ局のガイド、仝哲(どう・てつ)氏は「歴史、文化の根底にあるものや濃厚な民族的特色が塞上(北辺の地)老街独自の文化的魅力になっている」と指摘。今ではさまざまな民族風情や歴史感に満ちた建築物との記念撮影が塞上老街を訪れる観光客にとって欠かせないものとなっており、塞上老街にはこの1年余りの間に、民族風旅行撮影を行う業者が100軒ほど増えたと述べた。

 民族風写真店のオーナー、宝鷹(ほう・よう)さんは、「休みになると注文が殺到し、多い時には1日100人以上になる」と話す。伝統的民族衣装製造業者も、絶えず現代的な要素を取り入れた新製品を市場に出し、民族風のメークやアクセサリーなども観光客に人気で、旅行撮影の新たな業態が文化・観光産業の発展をけん引する新たな目玉となっている。

 伝統文化の要素を取り入れた「国潮」文化の盛り上がりに伴い、旅行撮影など文化観光の新たな業態は多くの歴史的なエリアに新たな活力を与えている。

 今年の春節(旧正月)前、同自治区包頭市の老包頭走西口歴史文化街区がオープンすると、訪れた多くの観光客は、没入型実景劇や「二人台小戯」(2人で演じる伝統演劇)を鑑賞し、興味深い走西口文化を体験した。

 西口歴史文化街区からほど近い包頭金街は、若者に人気のSNS「映え」スポットとなっている。包頭金街には明清時代の建築物を模した建物を主体に、中国の伝統文化を取り入れた「国風」をテーマにしたシチュエーションが用意され、文化廟会(びょうえ=縁日)、西口文化フェスティバル、民俗フェスティバルなどの文化イベントも開催。漢服パレード、没入型実景ショー、古風マーケット、民俗パフォーマンスなども行われている。内モンゴル師範大学の楊蘊麗(よう・うんれい)教授は「観光客のニーズが多様化するにつれ、飲食、観光、小売、商業エリア、ナイトエコノミー、文化・娯楽、デジタル消費のニーズが解放され続け、特色があり、多様で、体験型のサービス消費業態が次々と現れている」と分析。ここ数年は消費シーンに絶えずイノベーションがもたらされ、文化属性が際立っており、各種博物館、民俗風情街、路上コンサートに各地から観光客が訪れ、文化消費が新たなトレンドとなっていると指摘した。

 今年に入り、同自治区各地では没入型で民族的特色が体験できる文化観光イベントを企画しており、観光客に非常に人気となっている。

 春節直前、同自治区ウランチャブ市四子王旗の格根塔拉雪原で、氷雪ナーダム(モンゴル族の祭典)の競馬競技が開催され、全国各地からの観光客がモンゴル族伝統の競技に没入し、各地の選手と氷雪スポーツに盛り上がった。同自治区各地で開催される氷雪ナーダムは、民族の伝統的スポーツを人気の観光ブランドに変え、持続可能、観賞可能、体験可能な全く新たな観光商品にした。 データによると、中国の旅行撮影企業登録数は2500社を超える。2024年には2500万人以上の消費者が利用し、市場規模は約400億元(1元=約20円)となった。

 中国伝媒大学文化産業管理学院の張洪生(ちょう・こうせい)執行院長は「民族風観光は一過性のものではないが、盛り上がりから定番へ発展する過程を必ず経験する。これは発展の周期的な法則だ」と指摘。民族文化観光市場はまだ大きな可能性を秘めており、新技術の発展に伴って、伝統文化の要素と現代の芸術的審美眼、生活シーンが融合することで、強力な生命力、イノベーション力、地域の実体経済発展を促進する力を発揮し、より多くの雇用をけん引するとの見方を示した。(c)Xinhua News/AFPBB News