南ア、白人再定住めぐり米に抗議 「差別の申し立ては事実無根」
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【5月10日 AFP】南アフリカ政府は9日、ドナルド・トランプ政権がアフリカーナー(オランダ系を中心とする南ア生まれの白人)の米国への再定住を来週にも開始すると報じられたのを受け、トランプ政権に「懸念」を表明した。
トランプ大統領は南ア政府が白人を「人種差別」していると非難しており、米メディアは8日、早ければ12日にもトランプ政権は南ア白人の第1陣を米国に迎え入れる予定だと報じた。
これに対し南ア外務省は声明で、「米国が南アからの難民とされる人々の受け入れ手続きを開始したという情報に対し、懸念を表明した」「(白人に対する)差別が行われているという申し立ては事実無根だと改めて表明する」と主張。
「たとえ差別だとの申し立てがあったとしても、難民に関する国内法および国際法で定義される迫害には当たらないとわれわれは考えている」と続けた。
南アのアルビン・ボーツ副外相が、米国のクリストファー・ランドー国務副長官に直接懸念を伝えたという。
南ア外務省は、「『難民』と称した南ア人を米国に再定住させるのは極めて遺憾だ。完全に政治的動機に基づいており、南ア憲法によって立つ民主主義に疑問を投げ掛けることを意図しているように思われる」と主張している。
同省によると、南ア政府は、米国への入国を認められる人々の地位について、難民認定希望者、難民、あるいは一般市民のいずれに該当するのか把握を求めており、さらに、こうした人々に適切な審査を実施し、刑事事件で係属中ではないことを確認するよう要請している。
同省は、「南アは、米国による『難民』の地位の評価に異議を唱えるが、希望者の出国を阻止することはない」と付け加えている。
アフリカーナーは3世紀以上前に南アに入植したオランダ人らの子孫がほとんどで、現在は南アの白人人口7.3%の大半を占める。
主にアフリカーナーが率いた政権は1994年まで、多数派の黒人から政治的・経済的権利を剥奪する残忍な人種隔離政策「アパルトヘイト」の下で、南アを支配していた。
アフリカーナーは、白人の農業従事者が殺害の標的になっていると主張している。だが、公式統計によると、同国の殺人事件の被害者の大半は都市部の若い黒人男性だ。
こうした事実にもかかわらず、アフリカーナーは「白人に対するジェノサイド(集団殺害)」が起きているとの虚偽の主張を唱え、トランプ氏もこの説を繰り返している。(c)AFP