【5月14日 AFP】フランス・カンヌで13日、第78回カンヌ国際映画祭が開幕した。今年の審査員長を務める俳優のジュリエット・ビノシュさんは、イスラエルの攻撃で亡くなったパレスチナ自治区ガザ地区のフォトジャーナリスト、ファティマ・ハスナ氏(25)に哀悼の意を表した。

ハスナ氏は先月、同作が「アシッド(ACID)」部門への出品作として発表された翌日、ガザ北部にある自宅でイスラエルの空爆を受け、親族10人と共に亡くなった。

イランのセピデ・ファルシ監督がハスナ氏を取り上げたドキュメンタリー映画『Put Your Soul on Your Hand and Walk』は、15日にカンヌで初上映される。

ビノシュさんは「彼女は今夜、私たちと共にいるはずだった」と述べ、「世界中の芸術家たちは日々闘い、抵抗を芸術に変えている」とスピーチした。また、2023年10月7日のハマスによるイスラエル越境攻撃で拉致された人質についても言及した。

映画祭の開幕前日には、ハリウッドスターら映画関係者ら380人以上が、イスラエルによるガザ包囲について映画界が声明を発表しないのは「恥だ」と公開書簡で非難した。

俳優のリチャード・ギアさんやスーザン・サランドンさん、マーク・ラファロさん、ハビエル・バルデムさん、レイフ・ファインズさん、ペドロ・アルモドバル監督、リューベン・オストルンド監督、マイク・リー監督、ジュスティーヌ・トリエ監督、コスタ=ガヴラス監督らも署名に加わり、ハスナ氏が殺害された事態を糾弾するとともに、「ガザでジェノサイド(集団殺害)が起きている間、私たちは沈黙を続けることはできない」と訴えた。

開幕を宣言したクエンティン・タランティーノ監督は、イスラエル人の妻ダニエラ・ピックさんと参加。ピックさんは、ハマスに拉致された251人の人質の解放への願いや連帯を示す黄色のリボンを身に付けてレッドカーペットに登場した。

また、生涯功労賞に当たる「名誉パルムドール」を授与された米俳優ロバート・デ・ニーロさん(81)は、ドナルド・トランプ米大統領が「外国で制作された」映画に100%の関税を課すと発表したことを激しく批判。

「こうした攻撃は容認できない。これは米国だけの問題ではなく、世界的な問題だ」とし、行動を起こすよう呼び掛けた。

ただ、トランプ氏の構想は映画界に衝撃を与えたが、その政策がどのように実行可能なのか理解している関係者や専門家はほとんどいない。(c)AFP