米国も注視する「韓国大統領選・運命の1日」…経済・安全保障で新政権の対米関係に焦点
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【06月03日 KOREA WAVE】米国でも韓国大統領選の行方に高い関心が寄せられている。昨年12月3日のユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領(当時)による「非常戒厳」宣布から始まり、弾劾・罷免・早期選挙へと至った6カ月に及ぶ政局の混乱は、今回の選挙で大きな転機を迎えるからだ。
特に、貿易戦争と通商交渉を主導するトランプ米大統領にとって、造船やエネルギーなどの分野で協力関係を築いてきた韓国の新大統領の動向は無視できない要素だ。
米主要メディアは今回の選挙が韓米関係に与える影響について、「経済」と「安全保障」の2つの軸から分析する報道を展開している。
◇トランプ関税と韓国の苦境
米紙ワシントン・ポストは、韓国の新大統領が直面する最大の課題は「トランプ関税」だと指摘した。
米国は4月2日、韓国を含む対象国に「相互関税(reciprocal tariffs)」を導入すると発表し、韓国には基本10%、追加15%の計25%関税を適用するとした。だが、9日から発効予定だった追加15%については、7月8日まで90日間の猶予期間が設けられた。
現在、韓国は鉄鋼・自動車を含む25%の品目別関税の全面免除を求めて米国と交渉中だ。韓国にとってこの25%関税は、自由貿易協定(FTA)締結国の中でも最高水準であり、両国の経済協力に反するとの見方がある。
一方、米国は関税引き下げの見返りとして、アラスカの天然ガス開発やその輸入拡大を求める可能性が高い。
首都ワシントンで4月24日開かれた「韓米2+2通商協議」でベッセント米財務長官は、韓国が「最高のカード(Aゲーム)」を持ち込んだと評価したという。韓国は選挙後の7月まで時間を設けた「Julyパッケージ」を提案しており、新大統領はこの協議の続きを担うことになる。
トランプ関税によってすでに輸出環境が悪化している韓国経済にとって、新政権はこの通商問題の突破口を探るという難題に直面している。

◇朝鮮半島の安全保障と「戦略的柔軟性」
米紙ニューヨーク・タイムズは、朝鮮半島とインド太平洋の安全保障地形において、韓国の新政権が重大な選択を迫られると報じている。
報道によれば、北朝鮮は核保有国として韓国への脅威を強め、ロシアも北朝鮮の軍備近代化を支援している。また、中国による台湾への軍事的威嚇も高まるなか、米国は在韓米軍に「戦略的柔軟性」を求めており、韓国にはより積極的な地域安全保障の役割が求められているという。
同紙は、経済と安全保障の両面で韓国が米国との同盟を重視している一方で、最大の貿易相手国である中国との関係も無視できないというジレンマがあると分析する。候補者ごとの外交スタンスにも注目が集まっている。
共に民主党のイ・ジェミョン(李在明)候補は「親中・反米」という批判を払拭するため、米韓同盟を外交の基軸と強調してきたが、中国や北朝鮮との関係改善を掲げている点では、米国内で警戒もあるという。ヘグセス米国防長官は「多くの国が中国との経済協力と米国との安全保障協力の“両立”という甘い誘惑に揺れている」と警告した。
一方、国民の力のキム・ムンス(金文洙)候補は、韓国を「米国がより信頼できる同盟国」にすると公約する一方で、戦術核兵器の再配備や自主的な核武装の可能性に言及し、米政策当局者を警戒させている。TV討論では「韓米同盟の枠内で核武装を推進する必要がある」との持論を展開した。
米国にとっても、今回の韓国大統領選は通商、軍事、外交をめぐる対韓政策の方向性を左右する重要な岐路となっている。
(c)news1/KOREA WAVE/AFPBB News