【6月21日 AFP】ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は20日、同国軍がウクライナ北東部スムイ州の州都スムイの制圧を試みる可能性を「排除しない」と述べるとともに、「ロシア人とウクライナ人は同じ民族」だとの認識を示し、「その意味で、ウクライナ全土がわれわれのものだ」と主張した。

ウクライナ側は、プーチン氏の発言は和平プロセスに「関心がない」ことを示していると指摘した。

ロシアは現在、ウクライナの約5分の1を占領しており、2014年に併合したウクライナ南部クリミア半島に加え、2022年にウクライナ侵攻を開始して以降、同国領であるドネツク、ルガンスク、ザポリージャ、ヘルソン4州の併合を一方的に宣言した。

ロシアはスムイ州については併合を宣言していないが、最近3年ぶりに侵攻を再開した。

プーチン氏はサンクトペテルブルク国際経済フォーラムで、ウクライナ国境沿いに敵からの攻撃を防ぐ「緩衝地帯」を設置する計画の一環として、スムイを制圧する可能性を示唆し、ウクライナの国家としての地位を改めて否定した。

「スムイを占領する意図はないが、原則として排除しない。彼ら(ウクライナ)は国境地帯を絶えず砲撃し、常にわれわれを脅威にさらしている」と述べた。

ロシアが自国領だと主張していない地域にも軍を進めている理由を問われると、プーチン氏は、「ロシア人とウクライナ人は同じ民族だと認識している。その意味で、ウクライナ全土がわれわれのものだ」と回答。

「『ロシア兵が足を踏み入れたところはロシアのもの』という格言もある」と付け加えた。

これに対しウクライナのアンドリー・シビハ外相は、プーチン氏の発言を「常軌を逸している」と批判。同盟国に対し、ロシアに「厳しい制裁」を科すよう求めた。

X(旧ツイッター)で、「ロシアを和平に導く唯一の方法は、ロシアから何をしても罰せられることはないという感覚を奪うことだ」と述べた。(c)AFP