トラやヒョウの姿がふたたび 中国東北部の国立公園
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【10月14日 People’s Daily】暖かい日差しを浴びて家族でのんびり散歩したり、ぐっすりと眠ったり。近年、中国東北部・吉林省(Jilin)の森林で、野生のアムールトラとアムールヒョウがひんぱんに現れるようになった。その姿は、中国で進む生態環境の改善を象徴している。
2017年、アムールトラ・ヒョウを保護する目的で国立公園の試行制度が始まり、2021年10月には中国で初めて設置された国立公園の一つとして、アムールトラ・ヒョウ国立公園が誕生した。吉林省と黒竜江省(Heilongjiang)にまたがるこの公園は約1万4100平方キロの面積と97.7%の森林被覆率を誇り、アムールトラ・ヒョウが安定して暮らす生息地となった。吉林省は長年にわたり生態系の回復に尽力し、自然林の商業伐採の全面禁止、鉱山の閉鎖などを推し進めてきた。
「吉林省では2015年、高速道路と高速鉄道の建設が計画されましたが、そのルートはアムールトラ・ヒョウの生息地を通過するものでした」。北京師範大学(Beijing Normal University)生命科学学部の馮利民(Feng Limin)准教授は吉林省に計画の見直しを提案し、高速道路の計画は中止し、高速鉄道はルートを変更した。公園の試行制度以降、吉林省と黒竜江省では400ヘクタールの森林を再生し、2000ヘクタールの植林を行った。野生動物の生息環境はさらに改善された。
生態系保護は最新科学によっても支えられている。馮氏の研究チームは約3万台の赤外線カメラを設置し、人工知能(AI)やビッグデータ分析を駆使して、野生動物の活動をリアルタイムで観察している。この情報に基づき約6800人の巡視員が公園で活動し、昼夜を問わずトラやヒョウの安全を守っている。
4年間という短い試行期間の間に、生態系は大いに改善された。草食動物の個体数が急速に増加し、食物連鎖が急速に回復。アムールトラの子どもの成体率は試行制度以前の33%から50%以上に増加した。トラとヒョウの活動範囲は急速に拡大し、国立公園の中核地域では「すべての山にトラがいる」と言われるほどになった。
10年前、世界では「中国の野生のアムールトラは絶滅する可能性が高い」と言われていた。国立公園内のアムールトラは試験運用以前の27頭から2021年末には42頭に増加し、アムールヒョウも50頭から60頭に増えた。子どものトラも10頭以上、ヒョウは7頭以上が確認されている。
国立公園の担当者は「2025年までに自然保護区と国有森林農場を統合し、アムールトラ・ヒョウの生態回廊を構築し、安定した繁殖を実現していく」と話している。(c)People’s Daily/AFPBB News