【3月4日 AFP】イスラエルのミキ・ゾハル文化・スポーツ相は3日、占領下のヨルダン川西岸におけるイスラエル人の入植の実態を描いたドキュメンタリー映画『ノー・アザー・ランド 故郷は他にない』がアカデミー賞のドキュメンタリー長編賞を受賞したことについて、「映画にとって残念な瞬間だ」と批判した。

同作は、イスラエル人とパレスチナ人の活動家兼映像作家が共同監督し、西岸のパレスチナ人居住地区マサーフェル・ヤッタで撮影。イスラエル軍が射撃訓練場を作るために住居が取り壊され、強制退去させられる若いパレスチナ人の姿を追っている。

ゾハル氏はX(旧ツイッター)で、「この映画の製作者は、イスラエルを取り巻く複雑な現実を示さず、イスラエルのイメージをゆがめる話に同調することを選んだ」と主張。

「言論の自由は重要だが、イスラエルに対する中傷を国外での宣伝活動の道具として利用するのは創造的な表現ではなく、イスラエル国家への破壊行為だ」と非難した。

さらに、政府の映画製作への助成制度について、「イスラエルの観客に訴え掛ける作品」のみに助成金を提供し、「外国の映画祭でイスラエルをおとしめることでキャリアを築く活動は除外」する改革を進めているが、その理由がオスカー受賞で浮き彫りになったとも主張した。

映画業界はこうした改革について、リベラルな視点の抑圧であり、表現の自由への攻撃だと反発している。(c)AFP